医療局の基本プランでは、来年四月から、3病棟(120床)の削減。診療所にする病院は、十分な周知期間を確保し、地域住民に配慮しながら平成18年度から実施すると、具体的です。
 気仙地域では、二つの病棟を閉鎖し、120床の削減です。例えば、病棟が二つある高田病院は、とりあえず来年四月から一つにする、住田病院はその二年後に診療所にする、という計画です。サテライトシステムは地域医療の切り捨てです。
 重要な施策なので、県庁の中だけで決めるのではなく、みなさんのご意見も聞くというパブリックコメント制度が行われています。しかし、それでも12月16日が締め切りです。ちょっと待って欲しい、もっと説明をして欲しい、削減には反対だ、という意見を、ハガキ・メール等を利用して岩手県医療局に出しましょう。
 入院するベッドを減らすのは、一床、二床の単位ではなく、医療圏(気仙、二戸、両磐など)毎に、病棟単位(60床ずつ)で実施する、としています。来年四月には三つの病棟を閉鎖し、五年かけて中央病院に匹敵するベッド数を削減。いくつかの県立病院を診療所にする計画です。つい最近新築・改築した病院であっても、批判は出るだろうが、黒字にするためにはやらざるを得ない、という対応です。
 県立病院では、それぞれの地元の商店から食材を調達し、入院した患者さんが一日も早く体力を付け、退院できるよう、病院の職員が調理業務にあたっています。ところが、この基本プランでは、14のサテライト病院全てで全面委託にすることを方針としています。営利目的の委託業者が入って、本当に良い食事が提供できるのでしょうか。営利のためにできることは、食材を安くするか、人件費を安いパートにすることしかありません。
 また、予算も権限も大病院に集中させ、検査の集約化では、検査結果が翌日となり、一回の検査で二回も病院に足を運ぶなど、一層不便になることが予想されます。

 県の重要な施策を決める時、これまでのように県庁の中だけ、議会の中だけで決めるのではなく、広く県民に施策の案を示し、意見を聴き、より適切な施策に変更して実施するための方法として、岩手県ではパブリックコメントが実施されています。あなたの声が、意見が、要望が、県立病院改革基本プラン(案)の方向や具体的な施策=大病院中心のサテライト方式などを決めることになります。
 パブリックコメントでの意見表明は、郵送かファックス、電子メールに限定されています。また、住所、氏名を書くことが必要です。県立病院を診療所にするプランに、ストップをかけましょう。
 医療局が黒字になっても、地方の病院の切り捨てでは、県民の医療、福祉にとって、重大な後退です。
 毎年のように、県立病院の改築・増築そして新築が行われてきました。そうした病院施設でも、サテライトシステムの計画では、使わない病棟、施設を大量に生み出そうとしています。県民の税金や医療費の一部で建てられてきたものを、こんなにムダにしていいものでしょうか。
 岩手県として、県民に提供すべきサービスは何でしょうか。各種アンケートでは、医療・福祉の充実が、いつもトップとなっています。その基礎を支えているのが、県立病院です。岩手県の財政が厳しいといいながら大型公共事業は推進されてきました。岩手県の税金の使い方を、根本から変えることが必要ではないでしょうか。

 同じ県立病院でも、外来患者数、入院患者数、そして病院毎の収支での赤字、黒字があります。管理者、医師、職員が力を合わせて、地域の要望に応えることで、住民の方に喜ばれ、一定の黒字を続けている病院もあります。地域住民と力を合わせることができる仕組み、職員が力を合わせることができる仕組みを、もっと追究すべきではないでしょうか。

 医療局では、計画をまとめた段階で、パブリックコメント(方針をみなさんに示し、ご意見をいただき、必要な修正をしていく、という手続き)を行うとしています。必要な資料を請求し、個人として、あるいは家族や地域で、意見をまとめて提出していきましょう。
【労働組合にもご意見をお寄せ下さい】



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